--- title: "HTTPS Server" order: 7 --- 前章ではHTTPSクライアントを使いました。今度は自分でHTTPSサーバーを立ててみましょう。3章の `httplib::Server` を `httplib::SSLServer` に置き換えるだけです。 ただし、TLSサーバーにはサーバー証明書と秘密鍵が必要です。まずはそこから準備しましょう。 ## 自己署名証明書の作成 開発やテスト用なら、自己署名証明書(いわゆるオレオレ証明書)で十分です。OpenSSLのコマンドでサクッと作れます。 ```sh openssl req -x509 -noenc -keyout key.pem -out cert.pem -subj /CN=localhost ``` これで2つのファイルができます。 - **`cert.pem`** — サーバー証明書 - **`key.pem`** — 秘密鍵 ## 最小のHTTPSサーバー 証明書ができたら、さっそくサーバーを書いてみましょう。 ```cpp #define CPPHTTPLIB_OPENSSL_SUPPORT #include "httplib.h" #include int main() { httplib::SSLServer svr("cert.pem", "key.pem"); svr.Get("/", [](const auto &, auto &res) { res.set_content("Hello, HTTPS!", "text/plain"); }); std::cout << "Listening on https://localhost:8443" << std::endl; svr.listen("0.0.0.0", 8443); } ``` `httplib::SSLServer` のコンストラクタに証明書と秘密鍵のパスを渡すだけです。ルーティングの書き方は3章の `httplib::Server` とまったく同じですよ。 コンパイルして起動しましょう。 ## 動作確認 サーバーが起動したら、`curl` でアクセスしてみましょう。自己署名証明書なので、`-k` オプションで証明書検証をスキップします。 ```sh curl -k https://localhost:8443/ # Hello, HTTPS! ``` ブラウザで `https://localhost:8443` を開くと、「この接続は安全ではありません」と警告が出ます。自己署名証明書なので正常です。気にせず進めてください。 ## クライアントからの接続 前章の `httplib::Client` で接続してみましょう。自己署名証明書のサーバーに接続するには、2つの方法があります。 ### 方法1: 証明書検証を無効にする 開発時の手軽な方法です。 ```cpp #define CPPHTTPLIB_OPENSSL_SUPPORT #include "httplib.h" #include int main() { httplib::Client cli("https://localhost:8443"); cli.enable_server_certificate_verification(false); auto res = cli.Get("/"); if (res) { std::cout << res->body << std::endl; // Hello, HTTPS! } } ``` ### 方法2: 自己署名証明書をCA証明書として指定する こちらのほうが安全です。`cert.pem` をCA証明書として信頼するよう指定します。 ```cpp #define CPPHTTPLIB_OPENSSL_SUPPORT #include "httplib.h" #include int main() { httplib::Client cli("https://localhost:8443"); cli.set_ca_cert_path("cert.pem"); auto res = cli.Get("/"); if (res) { std::cout << res->body << std::endl; // Hello, HTTPS! } } ``` この方法なら、指定した証明書のサーバーにだけ接続を許可して、なりすましを防げます。テスト環境でもなるべくこちらを使いましょう。 ## Server と SSLServer の比較 3章で学んだ `httplib::Server` のAPIは、`httplib::SSLServer` でもそのまま使えます。違いはコンストラクタだけです。 | | `httplib::Server` | `httplib::SSLServer` | | -- | ------------------ | -------------------- | | コンストラクタ | 引数なし | 証明書と秘密鍵のパス | | プロトコル | HTTP | HTTPS | | ポート(慣例) | 8080 | 8443 | | ルーティング | 共通 | 共通 | HTTPサーバーをHTTPSに切り替えるには、コンストラクタを変えるだけです。 ## 次のステップ HTTPSサーバーが動きましたね。これでHTTP/HTTPSのクライアントとサーバー、両方の基本がそろいました。 次は、cpp-httplibに新しく加わったWebSocket機能を見てみましょう。 **次:** [WebSocket](../08-websocket)